
まだ写真のない時代、お金持ちの貴族は、画家をやとい、
生きたあかしに肖像画をかかせました。
顔の表情を、はっきりと浮きたたせて見せるために、
まわりを暗くしてスポットライトがあたったようにすることも時代のとくちょうです。
ヴィンチェンツォ・カテーナ 1480-1531
ヴェネチア(ヴェニス)人画家。カテーナは良家の生まれで、働かないで暮らせるだけの資産があり、人道主義者の集団で活躍した人物でもあった。彼の初期の作品は不器用さを感じさせ、硬く形式ばったものであった。しかし中期にさしかかり、光の処理に工夫が見られ、暖かい色使いを持つ作品へと変貌を遂げる。ローマの法王庁が権勢を誇った、ルネサンス後期という時代にあって、カテーナは宗教画や肖像画を多く描く。背景を極端に暗くし、人物を浮き上がらせる手法は、当時の特徴を顕著に示すものである。